覚醒剤(シャブ)
覚醒剤とは
中枢神経を興奮させ覚醒作用をもたらす物質である。このうち中枢神経刺激薬は、脳神経系に作用して心身の働きを一時的に活性化する働きを持つ広義の向精神薬の一種で、ドーパミン作動性に作用するため、中毒症状は統合失調症に酷似しており、嗜癖・依存に誘発された精神病は、重篤になりやすい。日本において狭義には覚せい剤取締法で規制されている薬物であり、規制対象としての覚醒剤は「覚せい剤」と記載される。メタンフェタミン覚醒剤という名称は、元々は『除倦覚醒剤』などの名称で販売されていたものが略されたもの。この『除倦覚醒剤』という言葉は戦前戦中のヒロポンなどの雑誌広告などに見受けられる。健康面への問題が認識され社会問題化し法規制が敷かれる以前は、現在の覚せい剤として指定されている成分を含んだ薬品は、疲労倦怠の状態から回復させ眠気を覚ますための薬品として販売されていた。覚せい剤取締法で規制されている薬物として、アンフェタミン・メタンフェタミンがある。
覚醒剤の俗称
覚醒剤の俗称は、日本では、シャブ、スピード、スピードの頭文字であるS(エス)、アイスなどがある。シャブの由来は、「骨までシャブる」を由来とする説や、「静脈内に投与すると冷感を覚え、寒い、しゃぶい、となることから」という説もある。覚醒剤をライターなどで炙って煙を吸引する摂取方法は「炙り」と呼ばれ、近年はこの摂取方法での乱用が増えている。乱用者は「ポン中」や「シャブ中」などと呼ばれる。東アジアでは、シャブ・スピード・アイスなどの俗称がある。中国ではビンドゥ、北朝鮮ではピンなどとも呼ばれる。韓国では、大日本住友製薬の興奮剤・覚醒剤の商品名ヒロポンの名で知られる。東南アジアのマレーシアではバトゥ・キラット、フィリピンではバタク、タイではヤーバー、ヤーマなどと呼ばれる。欧米では、メス、アイス、ティナ、ガラス、クランク、クリスタル。乱用者はトゥイーカーなどと呼ばれる。覚醒剤は着色されたものも乱用されており、赤色はストロベリー・クイック、ピンク色はピンクパンサーなどと呼ばれている。
覚醒剤の副作用
血圧上昇、散瞳など交感神経刺激症状が出現する。発汗が活発になり、喉が異常に渇く。内臓の働きは不活発になり多くは便秘状態となる。性的気分は容易に増幅されるが、反面、男性の場合は薬効が強く作用している間は勃起不全となる。常同行為が見られ、不自然な筋肉の緊張、キョロキョロと落ち着きの無い動作を示すことが多い。更に、主に過剰摂取によってであるが、死亡することもある。食欲は低下し、過覚醒により不眠となる。また、覚醒剤使用により幻聴などの症状が生じることがある。さらに、覚醒剤の使用を中断しているにも関わらず使用しているときのような感覚が生じることがあり、フラッシュバックと呼ぶ。フラッシュバックは使用直後に生じる場合から、使用を中断して数年を経て経験する場合まである。
覚醒剤の歴史
1885年、長井長義が麻黄からエフェドリンの抽出に成功。1887年にエフェドリンからドイツでアンフェタミンが合成され、1893年、長井と三浦謹之助によってエフェドリンからメタンフェタミンが合成された。1919年、緒方章がメタンフェタミン(ヒロポン)の結晶化に成功。覚醒剤として使われ始めたのは、アメリカで薬理学者ゴードン・アレスが、1933年、アンフェタミンから吸入式喘息薬を開発して、ベンゼドリンとして市販されたことがきっかけ。日本では1941年に武田薬品工業からアンフェタミン製剤をゼドリン、大日本製薬からメタンフェタミン製剤をヒロポンとして市販されたが、効果も売上げもヒロポンの方が上だった。この結果、日本ではメタンフェタミンが社会に蔓延し多数の依存症患者を生み出す事となった。蔓延が社会問題化したことを受けて1951年に覚せい剤取締法の制定と施行によって覚醒剤の使用は減ったが、取引は地下に潜って暴力団などの主要な資金源となっていった。覚醒剤自体は非常に安価に製造できるが、取引が非合法化されているため闇ルートでの流通となり、末端価格は数百倍にも跳ね上がる。このため、密輸や密売があとを絶たない。近年では、北朝鮮・台湾・トルコなど大陸からの密輸も相当量あるといわれる。中学生・高校生が栄養剤感覚や痩せ薬感覚で手を出したり、主婦がセックスドラッグと騙されて服用するケースも増加し、薬物汚染として社会問題になっている。現在もなお芸能人・ミュージシャンなどの知名度の高い人物が覚醒剤使用で検挙されるケースが後を絶たない。
覚醒剤の逮捕者
尾崎豊(ミュージシャン)
江夏豊(元プロ野球選手・野球解説者)
清水健太郎(俳優・歌手)
長渕剛(ミュージシャン)
槇原敬之(ミュージシャン)
岡村靖幸(音楽プロデューサー)
西川隆宏(元DREAMS COME TRUE)
sakura(ドラマー・元L'Arc〜en〜Ciel)
田代まさし(タレント・芸人)
ジョン・健・ヌッツォ(テノール歌手)
大森隆志(元サザンオールスターズメンバー)
小川 洋平(トンボ鉛筆会長)
桂 銀淑(歌手)
加勢大周(俳優)
中村耕一(JAYWALK)
赤坂 晃(「光GENJI」元メンバー)
倖田梨紗(AV女優)
小向美奈子(タレント・AV女優)
酒井法子(女優)
ASKA(歌手)
清原和博(元プロ野球選手・野球評論家・タレント)
高知東生(元俳優)
杉田あきひろ(元NHK歌のおにいさん)
橋爪遼(俳優)
清水良太郎(俳優・清水アキラの息子)