危険ドラッグ、水際対策で防げ 密輸チェック強化
使用が原因と疑われる死者が昨年、100人を超えるなど急速に広がる危険ドラッグ。取り締まりで販売店は減ったものの、摘発を免れるため、インターネット販売や宅配をする業者も現れた。原料の薬物が中国から持ち込まれるケースも相次ぎ、関係当局は供給ルートを断つため水際対策を本格化させている。
昨年12月中旬。年の瀬を迎えた東京国際郵便局(江東区)には、海外から国際スピード郵便(EMS)で送られたクリスマス用のプレゼントなどがあふれていた。
手袋をした税関職員が書かれた品名などをチェックし、手際良く中身を確認していく。不審なものはエックス線検査するほか、成分の分析に回すこともある。
昨年9月上旬、税関職員が、中国からの小包を調べ、約1キロの粉末を見つけた。鑑定の結果、指定薬物と判明したため、警視庁は11月、旧薬事法違反容疑で受取人だった防水工の男を逮捕した。
「いつ、どこから、日本に危険ドラッグの原料が持ち込まれるか分からない。一瞬も気が抜けない」と税関幹部は表情を引き締める。
警察庁によると、昨年1~11月、全国の警察が危険ドラッグに絡み摘発したのは計725人。2013年の1年間分と比べても約4倍の急増ぶりだ。
方、販売店はかつて全国に200以上あったが、昨年末時点で販売が確認されたのは5店舗にまで激減。ただ、リスクの高い対面販売を避け、ネットやデリバリー(宅配)に切り替える業者が多く、乱用者による事件や事故は後を絶たない。捜査関係者は「危険ドラッグの原料のほとんどは中国産」と指摘する。
厚生労働省の麻薬取締部は昨年夏、石川県七尾市の危険ドラッグ工場を摘発。逮捕された男らは、中国から郵送された原料を加工し、ドラッグを作っていた。
こうした密輸に歯止めをかけようと、厚労省は、税関で危険ドラッグの原料の疑いがある物質が見つかった場合に検査命令を出し、検査が終わるまで輸入などを禁止する措置の検討を始めた。
政府は今後、関税法で定める「輸入してはならない貨物」に指定薬物も追加。輸入した業者や個人に、同法の刑事罰を科すほか税関での没収も可能になる。
via – Yahoo News